現在のタイの国旗は、赤、白、紺の3色の縞模様のデザインですが、その背後には深い歴史と意味が息づいています。
実は、このデザインは100年以上にわたりタイの国を象徴し続けており、その長い歴史の中で何度も変遷を経てきました。
この記事では、現在のタイ国旗がどのように誕生し、どのように変化を遂げてきたのかを詳しくご紹介します。
タイの国旗に込められた思いや、歴史の裏側に隠された物語を紐解きながら、タイ国旗の誇りと伝統を一緒に学びましょう!
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- タイ国旗|最初はアユタヤ王朝のナーラーイ王統治時代
- タイ国旗|ラマ1世時代に王室と民間の船旗が区別されるようになる
- タイ国旗|ラマ2世時代には白い象がプラスされる
- タイ国旗|ラマ4世の指示で白象のみの国旗に
- タイ国旗|ラマ6世の治世に3回目の変更で現在のタイの国旗に
- タイ国旗|現在のタイの国旗「トン・トライロン」
タイ国旗|最初はアユタヤ王朝のナーラーイ王統治時代
タイでは、国旗の最初の証拠が現れたのはアユタヤ王朝の第三代、ナーラーイ王統治時代とされています。
1680年(仏暦2223年)9月3日、フランスの軍艦「ル・ヴォワチュール号が、当時シャム王国(タイ)と友好関係を築くため、チャオプラヤー河口に到着しました。
その際、当時のヨーロッパの習慣として、シャム王国に敬意を表すため、礼砲を打つことをシャム側に要請。
ナーラーイ王はそれを許可、礼砲で応答する際に、その当時シャムには国旗がなかったために、代わりにオランダ国旗を掲げました。
フランス側は、オランダの国旗ではなく他の旗を掲げるよう提案し、すでにシャム王国の軍旗として使用していた赤一色の旗を掲げました。
この出来事をきっかけに、シャムは赤一色の旗を国旗として採用、王室と民間、両方の船で赤い国旗が掲げげられるようになりました。
タイ国旗|ラマ1世時代に王室と民間の船旗が区別されるようになる
1782年(仏暦2325年)、ラマ1世は王室と民間の船旗を、区別するように指示します。これにより、王室の船だけは、赤一色だけではなく、タイ語ではジャック(จักร )と呼ばれる丸い円盤状の武器が真ん中に描かれるようになりました。
タイ国旗|ラマ2世時代には白い象がプラスされる
1817年(仏暦2360年)ラマ2世は、ジャックの中に白い象をプラスするように命じ、王室の船旗のみが使用を許可されます。一般の商船に関しては今まで通り、無地の赤旗を使用。
白い象は、神聖で崇拝される存在であり、これを描くことにより、「白象を所有する国王」という威厳を持たせています。
この旗はラマ3世の治世まで使用されました。
タイ国旗|ラマ4世の指示で白象のみの国旗に
1855年(仏暦2398年)、外国との貿易を拡大していた時期、ラマ4世は、一般人の商船が使用している赤い無地の旗は、他国と重複していて区別が難しい、赤旗を廃止し、王室の船が採用しているような旗を採用するべきだと意見を述べました。
そこで、ジャック(円盤上の武器)は高貴なものであるため、一般商船が使用するにはふさわしくないので、それを取り除き、白象のみを残して、象のサイズを大きくしました。
当初は、白象が地面に立っているデザインでしたが、後に白象が歩いているデザインに変更されました。
ラマ5世統治下の1892年(仏暦2435年)頃、初めてシャムの国旗のデザインに関する法令が出ました。
- 赤地の旗であること
- 中央には象が自由に歩いている姿があること
- 象は、旗竿側を向いていること
このように規定され、ラマ5世の時代までシャムの国旗として使用されました。
タイ国旗|ラマ6世の治世に3回目の変更で現在のタイの国旗に
象に装飾、台座が追加される
1916年(仏暦2459年)には、ラマ6世が国旗法を改正・追加する布告を出しました。
それにより、象には装飾、そして台座が追加されました。
また、象が描かれた国旗は、これで最後となりました。
赤と白の5本の縞模様に
その後、国民が象の国旗を外国に発注する際の大変さ、困難さを考慮し、(当時、タイで国旗は技術的に生産できなかったため)ラマ6世は、白と赤の5本の縞模様の国旗を試験的に採用、一定期間使用されていました。
友人のアドバイスをきっかけに現在のタイの国旗へ。
1917年(仏暦2460年)8月18日(土)、ラマ6世の個人的な日記には次のように記されていました。
「外国の友人、アクアリスから、国旗のデザインは、十分に国の威厳が発揮されたものではない、中央の縞を青(紺)色にすることを提案された。」
これにラマ6世も同意。
これにより、タイの国旗は赤、白、紺の3色になりました。
この3色は、同盟国であるフランスの三色旗、イギリスのユニオンジャック、アメリカの星条旗でも使用されている色で、この3色を採用することにより、同時にこれらの国々を称えることを意味します。
1917年(仏暦2460年)、ラマ6世は国旗法を制定し、9月28日に交付されました。
タイ国旗|現在のタイの国旗「トン・トライロン」
現在のタイの国旗はธงไตรรงค์「トン・トライロン」と呼ばれています。
- ธง・トン=旗
- ไตร・トライ=3
- รงค์・ロン=色
という意味があります。
รงค์・ロンに関してですが、ベンジャロン焼きのロンも同じ文字で、「ベンジャ」は、サンスクリット語で「5」を表し、5彩の焼き物となります。
- 紺(青)は王室を象徴
- 白は仏教を象徴し、純粋さ宗教的な価値観を表す
- 赤は国民や土地を象徴し、タイ国民への愛情やつながりを表す
トン・トライロンは、現在に至るまで100年以上使用されており、ラーマ6世の恩恵を記念するため、毎年9月28日を「タイ国旗の日」と定め、政府機関などでは、国旗の掲揚をすることが定められました。
タイ語ですが、この記事のタイ国旗の歴史については下記のYoutubeを引用しています。
引用元:https://youtu.be/spH72uUTCKM?si=BQTPFKLRhOxtb-dj