
ユネスコの無形文化遺産に登録されているタイの伝統仮面劇・コーン(โขน)。
タイの仮面劇コーンのストーリーは、インドの古典叙事詩ラーマーヤナのタイ版、ラーマキエン物語。
ラーマキエン物語も長編叙事詩なので、物語の中の一部が仮面劇で上演されています。
タイの古典舞踏劇コーンは、指先の繊細な動き、足踏みなどでは感情を表現したりと、全身の動きで表現するのが特徴的。木管楽器や打楽器を中心とした音楽と共に、ストーリーが展開していきます。
本当に素晴らしいタイの伝統芸能であるコーンを観劇する機会に恵まれたので、その上演中の舞台の様子をご紹介したいと思います。
タイの仮面劇・コーンはどこで観劇できるの?
バンコクならサーラージャレームクルン王立劇場
バンコクで鑑賞する場合、一番有名なのはサーラージャレームクルン・王立劇場。
ワット・プラケオ(エメラルド寺院)の入場チケット500バーツの中には、この王立劇場での、コーンの観劇代も含まれ、平日3回25分間の公演があるようです。
詳しくは王立劇場のサイトをご確認ください。
https://www.salachalermkrung.com/
劇場へのシャトルバスも出ているようですので、エメラルド寺院とセットで行くのがおすすめです。
カセサート大学内の劇場
私が実際に観劇したのは、カセサート大学内にある劇場です。
マップはこちら。
毎年1回、タイの伝統芸能を継承していくために特別に行われているようです。タイのTV番組を見ていた時にたまたま、開催されることを知って、すぐにネット予約をしました。

一番良い席で300バーツととてもリーズナブルなため、私がネット予約した時にはすでに300バーツの席は埋まっていました。運よく200バーツ席の予約ができましたが、上演時間3時間、本格的で素晴らしい舞台で感動しました。
これは明らかに観光客や外国人向けの料金ではなく、タイ人向けの価格のため、見終わった後に、私のような部外者(外国人)がこんなに素晴らしい文化遺産を、ローカル価格で見て本当に良かったのか、と思ってしまいました。。。本当にありがたい限りです。
タイの仮面劇・コーン 観劇前に読んでおきたいラーマキエン物語
タイの古典舞踏劇コーンは、タイの叙事詩ラーマキエン物語を演じるので、事前に読んでから観劇すると一層、コーンを楽しめると思います。
ラーマキエン(Amazonサイト)
私は、下記のインドのラーマーヤナ上下を読みました。
このラーマーヤナの本は、子供から大人まで読める本なので、とても読みやすかったです。
どちらか読んでからコーンを観劇すると、話の内容をだいたい掴めるので、セリフはタイ語であっても、楽しめると思います。
タイの仮面劇・コーン 舞台の様子

こちらがカセサート大学内にある劇場の入り口です。学生が受付けをしてくれました。

チケット予約画面を提示すると、このようなパンフレットをもらいました。
タイトル「สองมาร」は二人の悪魔、という意味です。
他にも、冊子になった立派なパンフレットの販売もありましたが、全てタイ文字で英語表記などはありません。まぁそうですよね、タイ人向けの公演ですしね。

まずはラムタイ(タイ舞踊)の披露がありました。ちなみに、席は満席でした!
小学校低学年くらいの子供からお年寄りまで、さまざまな年齢層の観客がいました。
写真&ビデオ撮影OKです!

ストーリーの内容はぜひラーマキエン物語で読んで見てくださいね。ここでは詳細は割愛します。
上の画像、中央に座るのはトッサカーン。今回の仮面劇では、トサカーンがトンネルでの儀式が終わった後から始まります。ラーマ王子側に恥をかかされ、眠ることも食べることもできなかったトッサカーンは、赤と青の悪魔仲間2人を呼び、逆襲を企てます。

一方でラーマ王子側につく、ハヌマーンの猿軍団たち。
猿軍団には子役も数名いたんですが、もうプロです。これには同い年くらいの子供たちは惹きつけられたんじゃないかな、と思います。

まずはトッサカーン側の赤デビル、サッタスーがハヌマーンと戦いますが、結局ハヌマーンに殺されてしまいます。

赤鬼のサッタースーを失った悲しみを演じている青鬼のウィルンジャンバン。
悲しみを、体勢や足踏みなど全身を使い表現するのですが、これは本当に凄い技だと思いました。一体、これだけ演じられるようになるまで、どれだけの時間を使い、稽古が必要だったのかと考えると、本当に無形文化遺産になるだけの価値があると思わされます。

楽団の方々。音楽も重要なコーンの要素の一つで、舞台の演出を盛り立てます。

赤鬼を殺され、悲しんでいた青鬼のウィルンジャンバン軍団はラーマ王子軍団を倒そうと復讐しにきました。ウィルンジャンバンは魔法を使い、透明人間になって、ラーマ軍団の攻撃に成功、ラーマ側も攻撃しますが、青鬼はまた魔法を使って分身を作り、本人はアンカス山に逃げ込みます。

その後、海の泡の中に逃げ、隠れたウィルンジャンバンを見つけたハヌマーン。
物語のクライマックスで、ハヌマーンが勝利し、ウィルンジャンバンの首(仮面)をラーマ王子の元へ持っていき、幕は降ります。
誰が主役なのか?というと、ラーマ王子なのでしょうが、一番活躍していたのはハヌマーン!ハヌマーンの演技は、軽やかで鮮やかで身のこなしが美しかったのが印象的!その次はやはり青鬼役のウィルンジャンバン。鬼らしいどっしりと構えた演技もとても良かったです。

最後にキャストたちが仮面を取り、舞台に勢揃い。拍手喝采でした!!
前列には青少年キャストたちが並びますが、本当に大人のキャストに引けを取らない堂々とした演技ですごかったです。
まとめ

MBKセンターで月に何回か、短い時間ですが仮面劇のショーをしていて、それを見たことがあったくらい(これはこれでサービス精神旺盛で、キャストと記念撮影ができる)、今回初めてこんなに本格的な仮面劇が見れて、本当に感動しました!!
途中20分の休憩が入って計3時間の仮面劇。かなり見応えがあり、子供達も夢中で見ていました。皆さんもぜひタイの古典舞踏劇コーン、観劇してみてください!